自転車がつくる未来の暮らし 
祇園祭の宵宵山・宵山は、リユース食器でごみゼロを実現しよう

中心部の交通の半分は自転車、オランダ、アムステルダム

2013年6月16日 11:15 AM

 オランダの首都、アムステルダム中央駅前から王宮へ伸びるメインストリート、ダムラック通り。中央駅を下りて最初に目に入るこの通りを見て驚くのは、道の使い方が日本と全く違うことだ。昔は片側2車線、往復4車線の車道だったそうだが、今では右から歩道、自転車道(必ず右側通行)、複線のトラム(路面電車)の線路、一方通行一車線のみの車道、そして反対向きの自転車道、歩道と分けられている。また自転車の数が非常に多い。この街の中心部では交通の半分が自転車なのだ。

ams1
 中央駅前から見たダムラック通り

ams2
 王宮方面から見たところ。中央の赤煉瓦の建物が中央駅

ams3
 右折レーン(右側通行なので日本の左折レーンに当たる)がある場合は、直進用の自転車レーンは、車の直進レーンと右折レーンの間を走る。右折時の巻き込みを防ぐためだ。

 アムステルダムは人口約72万だが、このくらいの規模の街にしては車が少なく、非常にゆっくり走っている。街の中心ではこのダムラック通りのように一方通行の道だらけだし、ほとんどの道で最高速度30kmに制限されている。また、車線の幅が車の幅ギリギリしかないところが多いので、ゆっくり走らざるを得ない。さらに、中心部に行くほど駐車場は高くなる。そういうわけで、この街では車より自転車の方が速いし、お金もかからない。自転車やトラムを使う方が圧倒的に便利だから車を使う人は少ない。ただし、大きな荷物があったり体に障害があって車でなければならない場合もあるので、車の通行が禁止されているわけではないし、駐車場も確保されている。

 車の一方通行や通行禁止の道が多い反面、自転車道は非常に充実している。日本のように自転車道が不法駐車で占領されてしなうようなこともない。街中で不法駐車はまず見かけない。カメラが見張っているし、見つかったら罰金約14万円を取られるからだ。

 自転車のマナーは非常にいい。みんなきっちり右側通行を守って走っているし、歩道を走る人もいない。走ろうものならその辺にいる人にすぐ怒られる。また、歩行者が自転車道に入ってもいけない。この場合も入ったら自転車の人にすぐ怒られる。アムステルダムの交通担当者に聞いた話では罰則はないそうだがみんなきっちり守っているので、その必要もないのだろう。

 アムステルダムに限らず、ヨーロッパは古い町並みがそのまま残っているところが多いから道は狭い。アムステルダムでは、狭い道は次のようになってしまう。

ams4
 トラムと自転車、歩行者のみ

ams5
 商店街では自転車と歩行者のみ

ams6
 ここはかなり広い道だが、歩行者と自転車のみ。周りにスーパーや百貨店があるので駐輪スペースが設けられている。

ams7
 自転車用の信号もよく見かける。信号のタイミングは車用の信号が青になる少し前に青になるパターン、歩行者用・車用がすべて赤になって、自転車用だけが青になるパターンなど場所によっていろいろある。信号パターンは複雑で見ていてもなかなか理解できない。

ams8
 このように道の片側に両方向の自転車道がまとめられている場合も多い。交差点を曲がるといきなり道の左側を走るようになり、戸惑うこともある。自転車道はできるだけ道の両側に設けて、必ず右側通行にした方がいいように思う。これがアムステルダムの自転車道の最大の欠点に思える

執筆者

合同会社自転車ライフプロジェクト 代表 藤本芳一


↑ページの一番上へ