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5万円以上が当たり前。ヨーロッパで売られている自転車

2013年11月17日 10:20 AM

 以前、イギリスでどのような自転車が売られているかを紹介したが、今度は大陸側のヨーロッパで売られている自転車を見ていこう。イギリスは、他のヨーロッパ諸国に比べて自転車の平均速度が速く、ロードレーサーが主流だ。大陸側ではみんなもう少しゆっくり走っているので、自転車の傾向もイギリスとは少し違う。

 まずは、デンマーク、コペンハーゲンの自転車店。
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 主流はトレッキングバイクと呼ばれる、日本のクロスバイクに泥よけや荷台を付けてさらに実用的にしたものだ。これが売られている自転車の半分くらいを占め、残りがロードレーサー、マウンテンバイク、ママチャリタイプのものなどだ。ママチャリが主流の日本とは自転車の構成が全く違う。そして細かく見ていくとさらに日本との違いが大きいことがわかる。

 次の写真はマウンテンバイク。日本のものとほぼ同じ。
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 クラシカルなデザインのものが多いのも特徴だ。
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 次はママチャリタイプのもの。
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 値段に注目して欲しい。
 この写真を撮った2012年当時は円高の最盛期で、1デンマーククローネ=約13円。ママチャリタイプのものでも5万円くらいするのが当たり前なのだ。2013年の現在のレートは1デンマーククローネ=約18円。今のレートで計算すると6万円以上になる。
 後輪のハブをよく見ると内装変速機が付いている。デンマークや、それ以外の自転車先進国、オランダやドイツはいずれも坂がほとんど無いが、自転車には変速機が当たり前のように付いている。
 さらに写真の自転車の前輪のハブを見るとハブダイナモ(ライト用の発電機をハブ内に内蔵したもの。発電中でもペダルがほとんど重くならないのが特徴)も付いている。ぱっと見、日本のママチャリに似ているが意外に高性能な自転車なのだ。

 次はドイツ、ブレーメンの自転車店。
 ここでもトレッキングバイクが主流。
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 もちろんロードレーサーもある。日本でもおなじみのブランドのものだ。
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 日本にいると、自転車と言うと1万円前後の安いママチャリがまず思い浮かぶが、世界的に見ると日本だけが特殊なのだ。特にヨーロッパの自転車先進国では自転車の平均販売価格が非常に高い。例えばドイツで5万円程度。オランダでは何と8万円。いい自転車というのはスピードが出て、スムーズに走れるし、長い距離を乗っても疲れない。また長持ちもする。日本と比べて自転車を使う距離がずっと長いし、自転車の寿命も長い。オランダでは自転車の平均寿命は20年から30年とのことだ。
 そして、安い自転車が欲しい人には、自転車屋で普通に中古自転車が売られているし、中古自転車の買い取りもしてくれる。ヨーロッパでは、自転車は自分たちの生活にとって大事なもので、いいものを大事に長く使うことが当たり前なのだ。安い自転車が使い捨て感覚で使われている日本とは、自転車に対する感覚が全然違う。
 次回はこの自転車の違いについてもう少し考えていきたいと思う。

執筆者

合同会社自転車ライフプロジェクト 代表 藤本芳一


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