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急速に自転車都市化が進むロンドン

2013年4月7日 11:21 AM

 イギリスは、階級社会で「自転車は貧しい人の乗り物」というイメージがあり、2000年頃まで自転車を使う人はほとんどいなかった。しかし、ロンドン市内では近年自転車が急速に増え、行政も積極的に後押ししている。世界でも「自転車こそが時代の最先端を行く乗り物だ!」ということが最も感じられるのがロンドンだ。

bigben
ビッグベンを背景に走るサイクリスト達

 ロンドンで自転車利用者が増え始めたきっかけは、2005年7月7日の同時爆破テロ。地下鉄やバスが爆破され56人が死亡。公共交通が止まった。そこで人々はしかたなく自転車に乗り始めたのだが、それが自転車の可能性を気付かせるきっかけになった。

 前市長のケン・リヴィングストン氏は2003年から900kmのロンドンサイクルネットワークの整備を始め、市長自身がサイクリストとして有名な現市長のボリス・ジョンソン氏がそれをさらに推し進めている。その政策の2つの大きな目玉は、通勤用自転車高速道路「バークレイズ・サイクル・スーパー・ハイウェイ」とコミュニティサイクル(都市内で短距離を中心に利用することを目的にしたレンタサイクル)バークレイズ・サイクル・ハイヤーだ。

 「バークレイズ」というのはイギリスの大手銀行の名前で、行政が予算不足のためネーミングライツ(命名権)を販売し、予算の約半分をバークレイズが出資した。しかし、ロンドンっ子は、その名前をあまり快く思っていないようで、サイクルハイヤーは市長の名前を取って「ボリスバイク」と呼ばれているそうだ。

 サイクルスーパーハイウェイは下の地図のように金融街で有名なロンドン中心の「シティ」を中心に放射状に作られている。2012年現在4本が開通。あと8本が建設中または計画中である。放射状になっているのは郊外から市中心部への通勤に使われるよう考えられているためである。
cyclesuperhighway
Transport for Londonサイト、Barclays Cycle Superhighwaysのページより
http://www.tfl.gov.uk/roadusers/cycling/11901.aspx

 ボリス・ジョンソン氏の計画はとどまる所を知らず、ロンドン市内にヨーロッパ最長の24kmの車道と分離した自転車道を建設する計画も発表された。
http://bicyclegeek.seesaa.net/article/343149724.html

 自転車優先の政策は、中小規模の都市に向いていて人口数百万以上の大都市では難しいと言われてきた。しかし、人口約800万人のロンドンの成功は大都市でもそれが可能であることを証明したのだ。

 次回はサイクルスーパーハイウェイの様子を詳しく見ていく。


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