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スイスの国定サイクリングロード

2013年8月11日 7:06 PM

 オランダやドイツで自転車がよく使われているのは、「土地が平らで自転車が使いやすいからだ」と良く言われる。たしかにそれも一理あるだろう。しかしヨーロッパには、日本以上に山が多いのに自転車がよく使われ、サイクリングが非常に盛んな国もある。それがスイスだ。

 スイスには、国が定めたサイクリングロードが1号線から9号線まで計9本ある。いずれも国を縦断もしくは横断するくらいの長距離のルートだ。スイスは九州くらいの小さな国だが、それでもこれらのサイクリングロードのうちどれか一本を走るだけでも数日はかかる。

 サイクリングロードの地図はこちらで見ることができる。
http://map.veloland.ch/?lang=en&p&route=all


 やや昔の話になるが2003年に国定サイクリングロード3号線を走った。3号線はスイスの北の端バーゼルからルツェルンを経由しアルプス越えのメインルート、サン・ゴッタルド峠を越え、イタリアのリゾート地コモまで約350km。このとき実際に走ったルートは、チューリッヒからルツェルンまで走り、3号線に合流、そこからコモまでの約300kmだ。そのときの様子を見ていこう。

 ルツェルンの観光名所、カペル橋
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 サイクリングロードの案内標識は、スイス全土でデザインが統一されている。
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 サイクリングロードと言っても新しくそのために道を作ったのではない。既存の道を使って、できるだけ幹線道路以外の旧道や農道など車の少ない道をつなぐようになっている。しかし、特に自転車レーンなどが整備されていない普通の幹線道路を走る所も多く、危険に感じる所も多々あった。

 途中の景色はさすがスイス。どこを切り取っても美しい。

 湖を船で渡る所もある。
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 こんな崖っぷちの旧道もある。ちょっと怖いが景色は素晴らしいの一言。
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 やがてアルプス越えの本格的な登りに入る。手前の橋は昔使われていた石造りの橋。
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 標高1500mにあるアンデルマットの街に入る。
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 アンデルマットから先がいよいよアルプス越えの本番。前から何十人ものサイクリストが走ってくる。みんな高価そうなロードレーサーにまたがり、サイクルジャージとレーパンでばっちりキメている。あまりの人数の多さに最初はレースでも開催しているのかと思った。この日は7月のバカンスシーズンのたまたま日曜日ということもあっただろうが、1日で軽く数百人のサイクリストを見た。おじさん、またはおじいさんと言ってもいいような年齢の人が多い。私は、キャンプ用具をフル装備で走っていたせいもあるのだが、お腹の出たおじさんサイクリストにどんどん抜かされてちょっと悔しかった。

 峠の標高は2108m。こんなきついコースを、これほど多くの人が走っているなんて日本では考えられない。ヨーロッパで自転車政策が進む背景には、サイクリングがこれだけ多くの人に愛されているということがあるというのを強く感じた日だった。

 すごい数のサイクリスト。
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 峠にて。
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 下りにかかる。峠越えのかつてのメインルートがサイクリングロードになっている。すさまじいつづら折りだ。
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 途中の村はどこも中世そのままの景色。
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 ベリンツォーナの街にある城。
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 ひまわり畑。
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執筆者

合同会社自転車ライフプロジェクト 代表 藤本芳一


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