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意外に歩道側が多い、ドイツの自転車レーン

2013年8月4日 12:11 PM

「日本以外では自転車は車道が常識」とよく言われる。たしかにその通りの面もあるのだが、実際はそう単純ではない。

 例えばドイツでは、車道と歩道しかない所では当然車道を走るのだが、自転車レーンは歩道側にあることの方が多い。ヨーロッパ全体で見ても歩道側の方が多いんじゃないかと思う。

 ドイツは、自転車政策先進国とよく言われるが、地域分権が進んでいるからだろうか、街によって自転車レーンの整備状況にかなり差を感じる。私が訪れたことがある街で大きな都市だけ見ても、例えばケルンでは中心部の道は自転車の走る所がなく、日本と変わらない状況だった。そして、自転車レーンの整備が遅れている街ほど、歩道を走ったり、逆走(左側通行)などルール違反をしている人が多いように感じた。よく「ドイツでは、みんなきっちり交通ルールを守って走っている」と言われるが、実際には守っていない人も多い。しかし、日本に比べればずっときっちり守られている。

 自転車レーンが整備されていると言われるミュンヘンやブレーメンでは確かに大きな通りにはほぼ自転車レーンがあるのだが、ほとんどが歩道に作られていた。どうも1980〜90年代はヨーロッパでも歩道側に自転車レーンの整備を進めていて、自転車レーンの整備に早くから取り組んだ街ほど、歩道側の自転車レーン網ができあがっているようだ。最近は車道側に作った方が問題が少ないことがわかってきて、この連載の最初に紹介したロンドンなどでは、車道側になっている。

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 ミュンヘンの自転車レーン。

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 ブレーメンにて。手放しはダメよ。

 歩道側の自転車レーンと言っても日本とはいろいろと違いがある。まずは、右側一方通行であること。逆走はできない。それから、交差点では、日本では横断歩道の横に自転車横断帯があってそれを通らなければならず、まっすぐ進めない所が多いが、ドイツではまっすぐ進むようになっていること。最近、日本でも自転車横断帯を通ろうとすると直進する自転車が一旦曲がらなければならないので、車から見ると自転車が曲がるものだと誤解して事故になる、ということがわかってきて、東京都内などでは自転車横断帯の撤去が進んでいる。

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 ミュンヘンにて。この写真の場所ではむしろ少し車道側に出るようになっている。

 また、日本では自転車レーンと歩道が分かれていても交差点手前に来るといっしょになってしまうことが多いが、ドイツではきっちり分けられていること。歩道の自転車レーンが交差点手前に来ると車道側に出る例もある。これは、交差点では車道側を走った方が、車からよく見えるので事故が起こりにくくなるためだ。
 それから、ヨーロッパでよくあるのが、次の写真のように右折レーン(日本の左折レーンに当たる)がある場合、直進する自転車は右折レーンの左側を通るようになっている例。この方が巻き込み事故を防ぐことができる。日本とは左右が逆なので、写真を左右反転して考えるとわかりやすいだろう。

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 この先に進むと、

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 右折レーンの左側を走る。

 このようにちょっと見ると、日本の歩道を分けたレーンと同じように見えるが、いろいろと違う事がわかる。

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 ハンブルクにて。信号待ちする自転車と自転車信号。二段階左折する自転車が途中待つ場所も用意されている。

執筆者

合同会社自転車ライフプロジェクト 代表 藤本芳一


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